河豚(ふぐ)と錦(きん)
福澤諭吉と妻錦(きん)は大変仲がいい夫婦でした。武家の娘として育てられた錦は福澤諭吉の妻としてよく働いて、家事一切を取り仕切っており、福澤諭吉であっても頭があがらない場面が多々あったそうです。今回はその中の一つとして、河豚(ふぐ)のエピソードを紹介します。
福澤諭吉は中津や大坂適塾で過ごした独身時代に河豚を好んでよく食べていました。しかし錦と結婚したあと、「おいしいものは他にいくらでもあるのに危険な河豚を食べることはない、どうしても食べたいのであれば私たち家族を殺してからにしてください」と錦に強く諌められ、河豚を食べるのを止めた、というエピソードが残っています。
福澤諭吉は大変頑固ではありましたが、自分の非を認めてすぐ謝罪をする、アドバイスを素直に受け入れるといった柔軟な面も持ち合わせていました。特に妻錦の言うことはよく聞いたとのことですが、福澤諭吉のあまり知られていない一面かもしれません。