娘の結婚
福澤諭吉は子沢山で、四男五女もの子供に恵まれました。子供を大切に思い、子煩悩であったことを示すエピソードが数多く残っています。

「諭吉の娘集合写真」 左から俊(三女)、滝(四女)、房(次女)、光(五女)、里(長女):1882年(明治15年)~1883年(明治16年)ごろ撮影
思想家としての福澤諭吉は、旧態依然とした家と家との結婚に疑問を呈しており、結婚には当人たちの意思が大切で親が必要以上に口を挟むべきではないと考えていました。しかし親としての一面はまた違ったようで、子供たちの結婚を気にかけ時にはやきもきすることもありました。
長女 里の結婚の際には、初めてのわが子の結婚に非常に緊張して、体調不良を理由に二度も両家顔合わせを延期しています。威厳があり、緊張している姿が想像できない福澤諭吉ですが、このような親しみやすい一面を持ち合わせていました。

「長女 里の肖像」:1911年(明治44年)撮影
*記事内の写真は、慶應義塾福澤研究センターにご提供いただきました。